実は患者さんに伝わっていない問診票の表現【内科編】
クリニックでの問診票は、医療の専門家でない患者やその家族、いわゆる医療の素人を相手にします。
医師としては普通の用語だと思っていた場合でも、患者さんからすれば専門用語で分かりにくいといったミスマッチが多々あり、患者さんが問診票の記入で困惑することは実は多いです。
ここでは、患者さんに実は伝わっていない意外な医療用語を紹介いたします。ご自身の問診の表現の改善にぜひ参考にしてください。
内科症状編
医療用語 | 患者さん向け用語 | 備考 |
---|---|---|
呼吸困難 | 息苦しい | |
血痰 | 痰に血が混じる | |
後鼻漏 | 鼻水がのどの奥に垂れ込む感じ | |
呑酸 | 口がすっぱい感じがする | |
咽頭痛 | のどの痛み | |
鼻汁 | 鼻みず | |
透明鼻汁 | 透明でさらさらしている鼻みず | |
膿性鼻汁 | 黄色や緑でどろっとしている鼻水 | |
嘔気 | 吐き気 | |
嘔吐 | 吐いた | |
咳嗽 | 咳が出る | |
振戦 | ふるえ | |
動悸 | 胸がドキドキする | |
血尿 | おしっこに血が混じる・おしっこが赤い | |
排尿時痛 | おしっこを出すときに痛む・しみる感じがある | |
頻尿 | トイレに何回も行く(夜に2回以上) | 夜間頻尿を質問したい場合には、2回以上と明記した方が良いです。 |
倦怠感 | 全身がだるい・体がだるい | |
食欲不振 | 食欲がわかない・食欲が落ちた | |
血便 | 便が赤い・便に血が混じる | 便の状態を見ていない人が多いので、「便に血が混じりますか?」の質問に対して「はい・いいえ」だけではなく「分からない」の回答もあったほうが良いです。 |
黒色便 | 便が黒い | |
黄疸 | 体が黄色くなった 体が黄色っぽいと最近周りから指摘された |
1)体が黄色くなったかどうかは本人では気づかないことが多いので、周囲から指摘されましたか?という問診にした方が伝わりやすいです。 2)体が黄色くなること自体が病気であると誤解している人がいます。 |
褐色尿 | 尿の色が濃い黄色、もしくは茶色っぽい | |
眼球結膜横染 | 白目の部分が、いつもより黄色っぽい | |
軟便 | いつもより少し軟らかい便 | |
泥状便 | 形のない泥のような便 | |
水様便 | 水のような便 | |
硬便 | 硬い便 | |
寝汗 | パジャマがびっしょりになるほどの寝汗をかく | 医学用語の寝汗と患者さんが受け取る寝汗は程度が異なります。 |
腹部膨満感 | お腹が張っている感じがある | |
嚥下 | 飲み込み | |
喘鳴 | 息をするときに「ヒューヒュー」「ゼイゼイ」といった音が出ますか? | |
体重増加 | 最近急に体重が増えましたか? | 医学的に病的な体重増加を質問する場合には、「最近急に」をつけ加えた方が患者さんの意図とのギャップがなくなります。 |
体重減少 | 最近急に体重が減りましたか? | |
拍動性の頭痛 | 「ズキンズキン」「ズキズキ」「ドクドク」等と脈打つように頭が痛い | 文字数が多いと感じる場合には、「頭がズキズキと痛みますか?」でも良いと思います。 |
緊張型頭痛 | 肩から頭にかけて、こったように痛い | |
音過敏 | 音が気になる、音が頭にひびく | |
光過敏 | 光が気になる、光をまぶしく感じる |