【にいがた乳腺クリニックPart4】しこりの大きさに関して、患者さんにイメージしやすい問診とは?
2021年1月15日開催の第3回問診アカデミーで、にいがた乳腺クリニックの長谷川先生に乳がん術後地域連携パス問診作成のポイントを伺いました。
▼目次
- 乳がん検診の検査間隔の選択肢の意図
-
乳がんのしこりの大きさに関するユニークな選択肢
乳がん検診の検査間隔の選択肢の意図
吉永
乳がん検診の問診も見ていきたいと思います。
『乳房の検査歴について教えてください。』の質問で、選択肢を『毎年受けている』『2年毎に受けている』『不定期』と分けられているのはどのような意図がありますか?
長谷川
乳がん検診で推奨されているのが2年毎なのです。毎年受けていますという方も結構いらっしゃったり、逆に「検診受けています」にチェックしていても、実は5年前だったとか多々あるので、上記の選択肢にしています。
エビデンスとしても、一般的な乳がん罹患リスクは、2年よりも頻繁に受けていてもあまり上乗せ効果がないんですよ。2年超えてしまうと、検診で受けていない方と変わらないぐらいだというヨーロッパからのデータが出ていますので、そこに合わせて選択肢を設けています。
吉永
『毎年受けている』という方は、心配でご自身で受けているという方が多いのですか?
長谷川
いえ、職域検診が多いです。会社の検診でついているので、毎年受けているという方ですね。
吉永
なるほどですね。
『不定期に受けている』の選択肢を選ばれている方は、どのくらいの頻度が多いのでしょうか?
『不定期に受けている』の選択肢を選ばれている方は、どのくらいの頻度が多いのでしょうか?
長谷川
5年前とか10年前などと書いてありますね。
吉永
分かりました。
『その時の検査内容を以下より選択してください』の質問で、選択肢で検査項目を選んでもらうということですね。
『不明』の選択肢の方も結構多そうですね。
長谷川
多いですね。
吉永
次に『今回どのような目的での受診ですか?』の質問について聞いていきます。
長谷川
そうですね。
『しこり』の選択肢をチェックすると、更に複数質問を設けていてかなり細かいと思います。
乳がんのしこりの大きさに関するユニークな選択肢
吉永
なるほど。
『大きさはどのくらいですか?最も近いものを選んでください。』の質問の選択肢がユニークだなと思いました。
長谷川
この表記をチェックしていただくことで、当院は事前に画像検査を受けていただいて、画像診断をしてからの診察に入るので、どちら側にどのぐらいのものをご自身として自覚されているのかが分かると、非常に探しやすく、患者さんが気になっているものを見つけやすいんですね。そのため、見落としにくくなるという意図で入れています。
吉永
なるほど。
『パチンコ玉くらい(約1㎝)』の選択肢には、数字よりもまず先に具体的な名前が表記されていますが、これはあえてそうされているのでしょうか?
長谷川
そうです。患者さんの認識の1㎝は、実際は2㎝くらいあったりするので、結構理解が難しいんですね。
2㎝と言って、3㎝、4㎝だったりとすごく小さく申告されていることもあるので、物の大きさにしておけばそんなにずれないかなということでそのように表記しています。
吉永
すごい面白いなと思いました。
『その症状はいつからありますか?おおよその数字をご入力ください。』の質問では、メルプの数字入力機能を使われています。
『大きさはどのくらいですか?最も近いものを選んでください。』の質問に対しては、数字で入力してもらうと、認識のずれが出てしまうので、物の大きさで聞いているということですよね?
長谷川
私たちにとって、1㎝や1.5㎝とかなど細かい値よりも、大体のざっくりとした大きさがわかれば良いので、物の大きさで近いものを選んでもらっていますね。
でも、症状の出現の時期については、保険や診断書の関係でどのくらい前からなのかが必要なのと、人によって少し前というのは実際に何日前かが違うので、そこはきっちりと数字で書いていただくような形をとっています。
吉永
なるほどですね。
その他の主訴の項目を開くと、『左右どちらかの乳房ですか?』『その症状はいつからありますか?おおよその数字をご入力ください。』と必ず質問されているということですね。
長谷川
そうですね。特に左右どちらの乳房かというのは、とても大事です。
それによって私自身がスクリーニングで画像診断するのか、または、もっと注視して画像診断できるのかというのが変わってきますので、どの主訴に対しても聞いていますね。
吉永
左右の中でさらに4象限にわけて聞くことはされないのですか?
長谷川
はい。そこまで聞くと質問が多いかなと思ってやめました。例えば、4象限の境界が重なっているようなとき困るかなと思って。
吉永
どっちを選んでいいかわからないということですね。
長谷川
そうなんですよね。
患者さんとしては、どの辺りっていうのは選びにくいかなと思ったんです。
吉永
先生からしても、左右どちらかなのか、大きさが大体わかれば見つけやすいということですね。
長谷川
そうですね。
吉永
なるほどですね。ありがとうございます。
主訴での来院目的についてお伺いしました。
Youtubeでも対談動画を掲載していますので、是非ご覧ください。