【にいがた乳腺クリニックPart2】患者さんに能動的に症状を探してもらう問診作成方法とは!?

【にいがた乳腺クリニックPart2】患者さんに能動的に症状を探してもらう問診作成方法とは!?

2021年1月15日開催の第3回問診アカデミーで、にいがた乳腺クリニックの長谷川先生に乳がん術後地域連携パス問診作成のポイントを伺いました。

▼目次

  1. 血液検査対象患者をピックアップ目的としてのメルプラベル機能活用
  2. 介入ポイントを探る疼痛症状の問診
  3. 乳がん地域連携パスの再診問診

血液検査対象患者をピックアップする目的としてのメルプラベル機能活用


吉永
こちらの緑色のボタンの部分は、メルプのラベル機能をご活用いただいていると思いますけれども、例えば、ホルモン治療を受けている人は一般採血項目とTM(腫瘍マーカー:tumor marker)の血液検査を行うというスクリーニングとして使われているということでしょうか?

(※ラベル機能:患者さんの特定の回答に応じて、医院管理画面で設定したラベルが表示される機能。詳しくはこちらをご覧ください。)


長谷川
そうですね。
今現在の薬物療法がなければ、手術後の定期的な血液検査はガイドライン上は推奨されていないです。ですので、今、現在ホルモン治療を受けている人をピックアップする目的で使っています。
あとは、抗HER2剤は単剤で使用することがまずなく、抗がん剤のコンビネーションで使いますので、抗がん剤の方にだけチェックが入ればいいという形ですね。
腫瘍マーカーもガイドライン上は採血項目で必須ではないのですけれども、浸潤がんだった時に腫瘍マーカーをとっている拠点病院が多く、かつ薬物療法をまず行いますので、薬物療法を行っている人には、腫瘍マーカーを採血するよという目的でラベルをつけています。

介入ポイントを探る疼痛症状の問診


吉永
ありがとうございます。
術後の傷や気になる症状の質問では、症状に関してこちらもいくつか選択肢を用意されていますね。そして、その中で「痛みがある」を回答した方にはさらに質問を用意されていますね。

Screen Shot 2021-01-22 at 10.43.27.png 221.09 KB

長谷川

そうですね。
乳房切除後疼痛症候群がありますので、場合によっては、ペインクリニックの紹介が必要だったり、なかなか、がん拠点病院で痛みの部分を拾いあげるのが難しいくらい、手術や抗がん剤治療でマンパワー的に精一杯な部分が多いですので、QOLの部分をかかりつけ医として拾い上げていくべきだと思いまして質問しています。
治療介入が必要なまでいかなくても、困っている症状、不快な症状を極力聞き出して、医学的な介入でなくても、ストレッチや理学療法で対処できるかもしれませんので、そうした介入ポイントがないかを見ていますね。
吉永
なるほどですね。
この痛みの0-10のスケールは、医学部でよく習うVASスケールだと思いますが、初診の時だけではなくその後の定期検診の問診でもこの痛みのスケールは質問されて、経過を追っているということでしょうか?
長谷川
そうですね。何かしらの治療介入をして、その後の経過を見られるかなという私側の目的もありますね。
あとは、「こういう時に痛むのですが再発ではありませんか?」という患者さんからの痛みに関する質問はものすごく多いです。 
吉永
こちらは、患者さんのよくある訴えに関しては、選択肢として列挙されていらっしゃるということですね?
長谷川
そうなんです。どういう時に痛いかに合わせて対処方法が変わってくるのと、痛みに関してうまく説明できない患者さんもいらっしゃいますので、このように選択肢として表示しておけばチェックはできますので、このような質問形式にしています。
その他の部分で自由記載をしていただいています。
手書きではないので、フリック入力が苦手な方にとっては、自由記入は難しいですが、チェックしていくことは簡単ですので。

乳がん地域連携パスの再診問診

吉永
こちらで一旦、地域連携パスの初診に関しては伺えたのかなと思います。
連携パスの再診の方も見ていきたいと思います。
こちらが、再診の問診ですね。
まず最初が、初診の問診でも聞いていた、術後の気になる症状に関してですね。
ここは、初診だけではなく定期的に毎回聞いているということですね?

長谷川
そうですね。
「しこりがある」など、再発を疑う所見も選択肢として用意しています。
このように選択肢として用意することで、患者さんも自分にその症状がないか能動的に探すのですよね。
吉永
なるほどですね。
手術以外の気になる症状に関しても質問されていますね。
長谷川
お薬の副作用として、抗がん剤の晩期症状とホルモン治療の副作用の主なものが入っています。あとは、ちょうど更年期の女性が患者さんとして多いので、全く薬物療法していない方でも更年期症状が出る人がどれだけいらっしゃるかを聞いています。
吉永
こちらの「ほてり・のぼせ・汗をかく」「イライラする・気分が落ち込む」などの選択肢の部分でしょうか?
長谷川
そうですね。こちらは、更年期の症状としてだけではなく、ホルモン治療の副作用としても見られる症状ですので、用意しています。
吉永
地域連携パスの問診に関して詳しく伺えたと思います。
長谷川先生、ありがとうございました。

患者さんが記入したスタッフ問診の回答は、このように裏側で医療用語に変換され、医師にとって見やすいカルテフォーマットで届きます。
問診結果をワンクリックで電子カルテに送ることができます。