【緑町診療所Part1】患者さんが直観的にイメージできる表現で問診回答選択肢を作成

【緑町診療所Part1】患者さんが直観的にイメージできる表現で問診回答選択肢を作成

2021年3月12日開催の第11回問診アカデミーで、緑町診療所の院長の稲熊先生に「新型コロナ対策の発熱外来・PCR検査問診」について伺いました。

▼目次

  1. 患者さんが直観的にイメージできる表現で問診回答選択肢を作成
  2. 初診で分厚く情報をとると再診問診はシンプルに

吉永
緑町診療所は、北海道新千歳市でご開業されており、千歳空港からバスで5分くらいの場所にあります。外国人の方も結構いらっしゃると伺っております。先生は内科だけでなく、小児科・整形外科、発熱外来、コロナのPCR検査など積極的に取り組んでいらっしゃいますので、幅広く患者様を受けつけていらっしゃるというのが特徴的かなと思います。
クリニックのLINE公式アカウントも開設されておりまして、こちらを登録しますと、予約をすることが出来たり、問診もここから飛ぶことができまして、診療所の情報も送られてくるようになっております。稲熊先生から何か付け加えておくべきところはありますでしょうか?
 
稲熊
いえ、大丈夫です。名前は少しクラッシックに診療所としましたが、先進的な取り組みもしていると思いますので、皆様ご参考になればと思います。
 
吉永
ありがとうございます。2診察ありますが、今は稲熊先生が1診察で行ったり来たりされて、患者様を入れ替わり立ち替わりしながら、効率よく先生が動くという感じで診察されています。
では、早速問診を見ていきます。
まず患者向け問診から。かなり項目が多いという印象ですが、最初の時点で『内科・発熱外来』『小児科』『外科・整形外科』『オンライン診療』『新型コロナPCR検査』『ワクチン』『検診』、あと外国語対応の問診も用意されていらっしゃいます。これ全て作成されるのは大変だったのではと思いますがどうでしたか?

 
稲熊
コロナウイルスが流行る前でしたので、まず最初に内科・小児科、外科、オンライン診療の4つだけを作って、あとは随時アレンジして付け加えていきましたね。実際には、『ワクチン』と『検診』はあんまり使っていないので、もうそろそろリニューアルしてシンプルにしようかなと思っています。
あとはコロナの在宅・ホテル療養者の毎日の健康状態をチェックするために新しい項目を作りました。
 
吉永
ありがとうございます。まず上から順番に『内科・発熱外来』について見ていきます。
確か診療所の前に発熱外来専用のプレハブを建てていらっしゃいまして、他の近隣の医療機関様からの診察も受け付けるという形で、積極的に診られていらっしゃるという印象を受けました。

患者さんが直観的にイメージできる表現で問診回答選択肢を作成

最初に体温を聞かれています。初診と再診で分かれていまして、初診の方にはまず保険証を提示していただいています。
『今日はどうされましたか?』の質問で『風邪っぽい』か『それ以外の症状』で選択肢が分かれています。『風邪っぽい』を選択すると、これらの症状が複数選択できるようになっているということですか?

稲熊
そうですね。
 
吉永
『のどの痛みはどのくらいですか?』の質問に対する選択肢も、患者様に分かりやすいような表現で『つばを飲むのも辛い』『食べたり飲んだりできる』とされていらっしゃると感じました。

稲熊

この辺は相当工夫して何度も直したりしていますね。
 
吉永
ありがとうございます。頭痛の性状に関する質問も、擬音語で患者様に寄り添った形で『ガンガン』という表記をされていらっしゃる感じですか?
稲熊
そうですね。患者さんにとって直観的に分かりやすい表現ですね。
 
吉永
『吐き気はどんな状態ですか?』の選択肢も『吐くほどではなかった』『吐いたが、楽になった』『今も吐いている、吐きそう』と分かりやすく、他の先生方もかなり参考になるかなと思いました。

中身を見ますと、吐き気に関して、患者様には平易な用語で、カルテ記載文言にはある程度医療用語にされているということですかね?

稲熊
そうですね。直接カルテに転記しますので。
 
吉永
すごい工夫されているという印象を受けます。
「それ以外の症状」を開きますと、ここでまた多くの選択肢がありますね。

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『しつこい頭痛』を開きますと、『その頭痛はいつから、どのような痛みですか?』と一つの質問で発症時期と症状を聞かれていまして、患者様は回答していくと一回で全部回答できるのかなと思いました。
稲熊
そうですね。
 
吉永
こちらは、問診編集画面の中身を見ますと、患者さんの回答文言とカルテ記載文言はそのままなのですね。
 
稲熊
これを全部繋げると文章になるようにしています。『1週間前からドカンドカンと激しい頭痛』『###日前から吐き気を伴う頭痛』とか『肩こりがひどい頭痛』とかそういう感じです。
 
吉永
なるほどですね。最初このシステム開発した時、そういう使い方は想定していなかったのですが、先生方のほうで工夫されてこういう問診の作成の仕方をたまに見ますね。
 
『耳の痛み』に関しても、選択肢に『右』『左』と部位があって、『聞こえにくい』『耳かきなどで傷つけてしまった』など症状に関しても聞かれていらっしゃるということですね。
熱についてもそうですね。文章になるような回答の作り方は、参考になるかなと思いました。
 
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あとは、先生に伝えたいことを自由記載で聞かれていまして、主訴の後に一般的な基本情報の問診もされているという感じですかね?

 
稲熊
そうですね。
 
吉永
お薬に関しては、サプリメントもここでしっかり明記して聞かれていらっしゃるということですね。
 
先生の中でご職業について聞かれている方も多いかなと思いますが、これを参考にされていたりする場合もありますか?
 
稲熊
これは整形外科も診るので、労働共同がやっぱり直球に直結していますのでそれで聞きますね。
 
吉永
なるほどですね。ここまでで先生から補足はありますでしょうか?
 
稲熊
当院の場合、医療クラークを使って、医療クラークがカルテに転記しますので、なるべくその後に分かりやすい平易な表現、カルテに残しても問題ない医療用語への変換とかですね。

患者さんの直観的にイメージできる表現とカルテに記載した時の破綻のない表現にこだわっていますね。
 
吉永
そうしますと、各質問の中の患者向けの選択式文言と、実際にカルテに飛ばす際のカルテ記載文言を工夫されて作られているということでしょうか?
 
稲熊
そうですね。

初診で分厚く情報をとると再診問診はシンプルに

 
吉永
ありがとうございます。再診についても見させていただきます。再診はシンプルに作られているという感じですか?
 
稲熊
はい。そうですね。
 
吉永
これはもともとあったテンプレートのもので、不要なものは非表示して使われているということですか?
 
稲熊
そうです。
実際、再診の時に使ってくる人は実はあんまりいないですね。なぜかというと、初診での情報が厚くなって、結構がっちり情報とれることが多いんですよね。だから、再診の場合、次に来た時にプロブレムリストまで全部まとめてありますので、それに付け足していくので大体診察室の中で事足りてしまうんですよね。
 
吉永
そうしますと、一応用意はされていますけれども、実際記入されることもなくということでしょうか?
 
稲熊
再診はそうですね。
 
吉永
先生のほうでセットみたいな感じで、ルーチンの問診が電子カルテに入るという感じですかね?
 
稲熊
そうですね。
吉永
分かりました。ありがとうございます。
 
稲熊
当院はクラークがいるので、再診に必要な時にはクラークが患者さんを診察室に呼び入れて、バイタルとって最初のアイスブレイクの話をして、それをカルテに載せてから医師を呼びます。
そうすると結局彼女達がやってくれるので、僕は呼ばれた部屋に行って診察すぐ入る感じなんですね。
 
吉永
そうなりますと、初診の場合、疾患によっては聞くべき項目も多いですので、メルプが補助として役立つ部分もありますけれど、再診の場合はそこまでという感じですかね?
 
稲熊
そうですね。ただ初診の情報からかなり情報密度高くできるので、2回目が早く済むというのはありますね。
 
吉永
一番初めが大事ということですね。
 
稲熊
そうですね。

Youtubeでも対談動画を掲載していますので、是非ご覧ください。