【緑町診療所Part3】「メルプ+医療クラーク」で律速のない効率的な情報処理を
2021年3月12日開催の第11回問診アカデミーで、緑町診療所の院長の稲熊先生に「新型コロナ対策の発熱外来・PCR検査問診」について伺いました。
▼目次
- 新型コロナ在宅・ホテル療養の方向けのメルプ活用方法
- 「メルプ+医療クラーク」で律速のない効率的な情報処理を
新型コロナ在宅・ホテル療養の方向けのメルプ活用方法
吉永
『新型コロナ在宅・ホテル療養』の問診を見ていきます。
稲熊
これは保健所からの要望で、在宅とホテル療養の人のフォローアップしてほしいというふうに言われて、じゃあこれ使ってみましょうかということでやっています。
大体、在宅・ホテル療養になる人って30~50代ぐらいでスマホ使える人が多いので、やっぱり自宅にて体調悪くなったらどうしようということなので、これを決まった日にちで問診に答えてもらいます。
そうするとカルテにそのまま転記できますので、大体毎日その人達の体調がわかるんです。問診の内容はオンラインと一緒ですね。
吉永
これはPCR検査で陽性になって、在宅かホテル療養されている方ということですよね?
稲熊
そうですね。
吉永
なかなか外出はできないので、WEB問診を利用して定期的にチェックされていらっしゃるということですかね。
稲熊
そうですね。再診の人達は、体調などを聞いてモニターの数値を自分で記入してもらっていますね。
吉永
サチュレーションモニターとかあるんですかね?
稲熊
保健所から配られているのでありますね。
吉永
そうなんですね。
稲熊
配られたモニターで自分でチェックして、症状とかも全部書いてもらうので、それをカルテに転記するだけで良いので、何か心配なことがあればオンライン診療に移行するという形ですね。
吉永
問診の頻度は患者様に依存する感じですか?保健所の要請でどのくらいの頻度でとかあるんでしょうか?
稲熊
最初はオンラインで顔を見て診察します。その様子を見て、記入は毎日やってくださいねと説明して、数日後にまたオンライン診療でという感じです。隔離明けまでフォローするという感じですね。
吉永
なるほどですね。
この取り組みをされていらっしゃるクリニック様は初めて聞きました
「メルプ+医療クラーク」で律速のない効率的な情報処理を
ひと通り見れましたが、先生から追加しておくことはありますか?
稲熊
先述の通り、当院は医療クラークもいますので、『メルプ+医療クラーク』っていう流れでやっているので、かなり効率的に情報処理が出来ていると思います。
初診の時に医師が患者さんにいちいち細かいところを聞くよりも、もう情報が揃った段階で掘り下げていけるので、非常に負担が少ないですね。最初に基本情報という箱があって、そこにディティールを詰めていく感じなので、それを聞いている間も医療クラークがメルプの情報にどんどん追加していくので、しっかり話を聞けばその患者さんのサマリーがすぐできちゃんですよね。
そうすることによって、2回目・3回目も情報がどんどん情報が厚くなっているので、『メルプ+医療クラーク』という組み合わせですごく効率化していると思います。どこにも律速段階がないので。
吉永
他のクリニック様ですと、医療クラークさんがいらっしゃるところが比較的少ないかなと思いますが、メルプ単体よりもクラークさんがいたほうが相乗効果が生まれるという感じですか?
稲熊
クラークをいれる意味というのは、医師が書くと自分が理解できる言葉、文章でしか書かない、あとで紐解いた時にこれ何言っているんだろうという文章になるんですね。時間がなくて単語だけが羅列してあったり、まとめていないとか、流れがバラバラとかですね。きちんとSOAPに区切られていないとか、その医師がやっている時はいいのですが、その医師が病気で倒れたりした時、毎回毎回きちんとセッティングされてカルテが書いていないので何のことやら分からないってなるんですね。
それが忙しくなればなるほど、だんだん雑になって行きます。そうするとカルテの価値が落ちるんですよね。カルテの質を高めるという意味でクラークをいれています。
吉永
カルテの質を高めるという意識でされている医師がどれだけいらっしゃるかというのはあると思うのですが、もともと稲熊先生はそういうお考えだったのでしょうか?
稲熊
私は、医師の研修教育を長くやってきましたので、カルテは基本的にプロフェッショナル同士の情報共有のツールであるし、カルテの根本的権利を持つのは患者さんだと思っています。
患者さんが欲しいと言った時に、そのままお渡ししても理解してもらえるようなカルテを書くのがプロとしての義務だと思っていて、開業して自分がもし倒れたとして、代診の先生でも同じようなカルテをクラークさんの助けを借りて、きちんと残していけるっていうのはある意味責任だと思っているので、そういう意識でやっていますね。
吉永
ありがとうございます。たまに忙しいと要点だけ書いて終わりみたいになりがちになってしまいますので、そこは分業できるところは率先的にしたほうがいいかなというのを聞いていて思いました。
稲熊
紙カルテの時は、そういう単語の羅列だけでもマルで囲って矢印を伸ばしたりして、イメージを残しておけたり、さっとスケッチを同じ場所に残しておけたりしますよね。
手書きは手書きの情報密度の高さはあるのですが、電カルの場合はそれがないんですね。いついかなる時もある程度のスタイルを持って、同じような流れで同じような情報量で残していくことが大事かなと思います。
吉永
ありがとうございます。現在、先生はお一人でされていらっしゃると思いますが、開業当初から例えば複数名の医師になった場合ですとか、先生が仮に倒れられた場合とかまでも想定して考えられていたということですよね?
稲熊
そうですね。開業する以上、その街のインフラになるつもりでやっていますね。
吉永
ありがとうございます。
稲熊
メルプはかなり自由度が高いので、運用方法においてチャンスがすごくあると思うんです。
今回、『新型コロナ在宅・ホテル療養』の人のカルテをとってみて、これを訪問診療に応用できるんじゃないかと思っています。ご家族の人に毎日バイタル測ってもらって、様子を聞いてメルプに飛ばしてもらって、それを電子カルテに残して、朝全部チェックしてから訪問診療に出かける、そして家族が残してくれたカルテに付け加える形で医師が重ねていくというふうにすると、カルテの密度が濃くなっていくと思うんですよね。
吉永
他の在宅診療をされている先生で、先生が所見を記入する用としてやっている先生がいらっしゃいまして、毎回診る項目、浮腫や床ずれ等をスマホで記入しまして、全ての患者様を終えましたら、まとめて電子カルテに送るというような形で使われていますね。
稲熊
そうですね。これはどの先生がやっても、同じようなカルテを書くっていう目的に合っていると思いますね。僕自身としてもそういうようなカルテをメルプで作って、患者さんの家族がやられてもいいし、医師がやってもいいっていうふうにしていきたいなと思っているんです。
吉永
ありがとうございます。
稲熊先生、本日はありがとうございました。
稲熊
ありがとうございました。
Youtubeでも対談動画を掲載していますので、是非ご覧ください。